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農林水産省

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事故米穀の不正規流通問題への対応と消費者の食に対する信頼の回復に向けて

事故米穀の不正規流通問題の経緯

2008年9月、食品衛生法上問題のある事故米穀(*1)について各種法令や国との契約に違反して食用等への横流しが行われていたことが発覚しました。事故米穀を十分な横流し防止措置を講じずに販売し、また、横流しを長期にわたって見逃し、結果として消費者の食の安全に対する不安を招いた農林水産省の責任は重大です。
事故米穀の流通ルートには、酒、和菓子、米菓等のメーカーや給食施設、外食企業等も含まれるなど、問題の広域性、社会的影響の大きさ等にかんがみ、政府一体となって対応しました。
農林水産省は、農林水産大臣を本部長とする「事故米対策本部」を設置(2008年9月24日)して、「農林水産省の取組に関する工程表」を公表(9月28日)し、1.流通ルートの解明、2.再発防止策の確立、3.事故米穀と知らずにこれを販売・加工した善意の事業者に対する経営支援策、4.米のトレーサビリティ、米関連商品の原料米原産地表示を含めた米流通システムの見直し、5.農林水産省の業務・組織の見直し等を行ってきました。
*1 保管中にカビの発生、水濡れ等の被害を受けたもの、または、基準値を超える残留農薬が検出されたものであり、用途を限定して売却するもの

有識者会議が不正規流通の原因を指摘

なぜ、このような問題が発生したのでしょうか。内閣府に設置された「事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議」がまとめた報告書では、事故米穀問題に関する農林水産省の責任の所在を明らかにするとともに、食の安全の確保の重要性に関する認識の欠如、業務の縦割り意識と組織の硬直性、危機意識や感性の欠如等、農林水産省の体質や農林水産行政に対する大変厳しい指摘がなされました。

農林水産省の取組 -流通ルートのほぼ全容を解明-

農林水産省は、事件の発端となった三笠フーズ(株)をはじめ、事故米穀に関するすべての流通ルートを徹底的に解明するための調査を実施しました。カビ毒であるアフラトキシン、残留農薬のルート解明を最優先とする一方、一般カビについてもルート解明を行いました。2008年10月末には、流通ルートの解明状況の全体像が公表され、販売先の開示拒否や帳簿等が廃棄されているものを除き、流通ルートが解明されました(解明率80%)。

事故米穀を二度と流通させない再発防止策を実施

事故米穀を二度と市場に流通させないようにするため、まず、MA米(*2)輸入時の検査で食品衛生法上問題があるものは、輸出国等への返送や廃棄を行う(輸入業者負担)こととし、一切国内に流通させないようにしました。国と輸入業者との契約でこのことを明記するように契約書の内容を変更しています。
また、政府が保管中に食品衛生法上問題が生じたものも廃棄処分することにしました。さらに、国から販売・加工業者まで適正な米の流通が確保されるよう、法律に基づく検査を厳格に行うための検査マニュアルを整備し、食糧法に基づく検査を抜き打ちで実施しています。
なお、MA米の販売後にカビが発見されることを極力防止するため、現在、販売直前にすべての袋を開けてカビの有無を目視確認するとともに、カビ毒のチェックも行って、関係法令に適合しているもののみを販売しています。
*2 MA米とはミニマム・アクセス米のこと。[用語の解説]を参照

事故米穀を二度と流通させない再発防止策

善意の事業者への経営支援策を実施

他方、事故米穀と知らずにこれを販売・加工した善意の事業者に対しては、経営支援が行われています。具体的には、1.製品の回収・廃棄等に要した経費、2.事業者名の公表から6か月間における売上総利益の減少相当額、3.経営安定のための運転資金の借入れを行った場合の1年分の金利について支援する経営支援措置が講じられています。

有識者会議の指摘を踏まえて厳正に処分

また、事故米穀の不正規流通の原因究明と責任の所在の検証を行った「事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議」の報告書を受け、今回の問題に責任のある農林水産省の関係職員に対する厳正な処分が行われました。

米のトレーサビリティの導入等により米穀の適正な流通を確保

今回の事故米穀問題を受けて、米のトレーサビリティ、米関連商品の原料米原産地表示を含めた米流通システムの見直しを図るため、「米流通システム検討会」が立ち上げられ、中間取りまとめ(2008年11月27日)において、制度の骨格が取りまとめられました。
これを踏まえ、米穀及びその加工品・調製品についてトレーサビリティを導入し、必要なときにその流通経路を迅速に解明できるようにするとともに、米を原料とした商品について原料米原産地情報伝達を義務付ける「米トレーサビリティ法」が2009年4月17日に成立しました。
また、同日成立した「改正食糧法」に基づき、用途を限定された米穀の横流し禁止等米穀の出荷・販売事業者が遵守すべき事項を定め、米穀の適正な流通を確保する措置が講じられます。

米のトレーサビリティ・原料米原産地情報伝達のイメージ

農林水産省の抜本的な機構改革を推進

農林水産省は、「事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議」報告書の厳しい指摘を省全体の問題として厳粛に受け止めています。このため、「農林水産省改革チーム」による「農林水産省改革のための緊急提言」に盛り込まれた事項について、農林水産省改革推進本部を設置(2008年12月24日)するとともに、「農林水産省改革の工程表」を決定し、2010年度を「農林水産省改革元年」とすべく改革に取り組んでいます。
具体的には、1.政策決定プロセスの改革、2.リスク管理・危機管理の改革、3.国民視点での組織運営の実現、4.国民視点に立った行政を円滑に遂行するための機構改革を主な項目として、国民視点に立った改革が着実に行われるよう、全力で取り組んでいます。

全力をあげて農林水産省の改革を実行

2008年11月28日、国民へのおわびと農林水産省改革への決意を表明する大臣談話が発表されるとともに、幹部職員への訓示が行われました。BSEの教訓を活かせなかったことを強く反省し、農林水産省の職員一人ひとりが、消費者のことを真剣に考え、食の安全を守るとの強い意識をもって、政策・業務の改善・充実にまい進できるようになるまで、全力をあげて農林水産省の改革を実行してきました。
具体的には、「緊急提言」や「工程表」に即して、国民にわかりやすい政策説明会の開催、国民が必要とする情報を必要な時に提供する体制の整備、リスク管理マニュアルの見直し、食の安全に関する知識や接遇の向上に向けた全職員を対象とした研修等に取り組んでいます。
このように省改革を進めるなかで、2009年3月に、無許可専従問題にかかる不十分な調査や不適切な取材対応が明らかになり、改革の実効性が問われる事態となりました(*1)。このため、このことを省全体が重く受け止め、職員一人ひとりが、農林水産省が国民の信頼を失っていることを改めて深く反省し、国民に親切・丁寧・正直な組織となるためには各々が何をすべきか真剣に考えて行動しながら、省改革を進めています。
*1 第三者委員会の指揮・監督のもと、7月中旬を目途に徹底的に実体解明を行い、法令違反の事実が明らかになった場合は厳正に対処することとしている。なお、無許可専従とは、国家公務員法の規定に基づく許可を受けることなく職員団体の業務に専ら従事すること。

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