国立国会図書館インターネット資料収集保存事業の通称である「WARP」という名前は、「Web Archiving Project」の略で、「過去にワープして当時のウェブサイトを体験する」という意味が込められています。この度、保存日やタイトルの別を気にすることなく、WARPが保存したコンテンツ内を自由にリンク移動することができるように改善しました。
あるページ内のリンク先ファイルを同じ保存日に保存していなかった場合、これまでは保存していない旨のメッセージ画面を表示していました。今回の改善により、別の保存日でリンク先ファイルを保存している場合は、最も近い日のファイルへ自動でリンク移動するようになりました。
例えば、○○省ページ内のリンク先を2022年2月に保存しておらず、2022年1月や2021年12月の○○省ページでは保存している場合、最も近い2022年1月の○○省ページのリンク先に移動します。
閲覧中のページにあるリンク先が、異なるタイトルに含まれるページであった場合、従来は、そのリンク先をWARPで保存している場合でも、その保存日では保存していない旨のメッセージ画面を表示していました。これからは、リンク先がWARPで保存されていれば、異なるタイトルであってもリンク移動できます。
例えば、○○省の2021年3月1日保存分のページを見ている際、そこに▲▲県のページへのリンクがあった場合、リンクをクリックすると、2021年3月1日に最も近い日に保存した▲▲県のリンク先ページに移動します。
一例として、首相官邸の次のページを見てみましょう。東日本大震災発生の1か月後に収集したもので、各省庁のウェブサイトへのリンクが多く張られています。
省庁はWARPで網羅的に収集しており、これらのリンク先ページはWARPで保存しています。ところが今までは、各省庁はそれぞれ別個のタイトルとして収集しているため、直接リンク移動することができませんでした。
これからは、上記の首相官邸ページにある内閣府や厚生労働省、経済産業省へのリンクのように、リンク先ページのタイトルが異なっていても、WARPで保存されていれば、閲覧中のページに最も保存日が近いリンク先へ移動できるようになりました。より当時にタイムスリップしたかのような感覚で、WARPの世界を自由に飛び回ってウェブサイトを閲覧することができます。
PDFやWord、Excel等のファイルでは、WARPでの保存日を記載したバナーが表示されないので、HTMLと同様に自動でリンク移動すると、別の保存日に移動したことがわかりません。そのため、HTMLとは異なり、別の保存日のファイルを開くためのボタンを載せた下のような画面を表示します。ただし、元々見ていたウェブサイトの保存日に最も近いファイルを表示する点では、ウェブサイトと同様です。
新機能を実感いただきやすい、異なるタイトルへのリンクを多く含んでいるページを下に並べました。
2021年12月に実施した検索の新機能追加では、ウェブサイトを「閲覧するまで」の部分が便利になりましたが、今回はウェブサイトを「閲覧しているとき」の利便性が向上しました。ぜひこの新機能で、時間だけでなくウェブサイト間の壁も存分に越えてみてはいかがでしょうか?